先輩に言われたように早速近所の道場に見学に行きました。案内してもらい少し話を聞くと、その当時その道場はめちゃくちゃ強く、全日本チャンピオン、社会人チャンピオンを出している名門の道場のようです。またこれまでに一度だけ世界大会があり、その時のチャンピオンもこの道場から出たようです。今日も社会人チャンピオンが来るそうなので楽しみですね。
小学生中学生の練習が始まりましたが、高山さんはまだ来てません。だいたい中学生までの組み手が顔面に面を付けず胴だけを付け、いわゆる顔面パンチ無しで蹴りで腹を蹴るのが中心の組み手です。ふむふむと見ていましたが、『ふ〜ん』という感じでした。
そしていよいよ一般の部が始まり型や約束組み手が始まりましたが、まだ来ませんね。そして型の練習が終わり休憩を挟んで組み手が始まる時に、それに合わせたかのように高山さんが『こんばんわ〜』と入ってきました。皆から『しんちゃん遅いわ』(高山さんは皆にしんちゃんと呼ばれていました)と言われてましたが和やかな感じです。速攻道着に着替え準備運動や型を始めてました。型というよりもボクシングやキックボクシング、極真カラテのシャドーのような型のような、とにかく様になってて誰よりもカッコ良かったです。顔付きも普段のニタニタのようなのとは違い引き締まっていました。
いよいよ組み手始まりましたが、やっぱ防具付けてても本気でパンチ、キック、組み合って投げても下になった相手を殴ったり蹴ったりするので迫力がありましたねぇ。当時防具を付けないフルコンタクト組み手は極真カラテでしたが、防具は付けますが顔面パンチが練習で思いっ切り出来るのは日拳のみでした。これは普通の中学生は体力的にも顔面パンチは危険で出来ないでしょう。
そしていよいよ高山さんの登場です。高校生ぐらいの白帯の子や白帯の社会人をボコボコにしました。道場では期待されているのか、チャンピオンクラスの方がいろいろ高山さんにアドバイスしていましたが、大半が『しんちゃん、その辺にしといたり』と言うアドバイスです。程度はわきまえているので最後は相手に打たせてあげてましたが、最初の真剣にやる時にボコボコにし過ぎてたので相手は打たせてくれているのにフラフラ状態でした。つえ〜、マジつえ〜と思いました。リアルな強さでした。こんな中学2年生がいるのかと・・・
そして社会人チャンピオンが『そろそろ、しんちゃん行こか』と声を掛け組み手が始まりました。真剣勝負ですが、やはりと言うか当然ですが社会人チャンピオンはめっちゃ強かったです。段位を聞くと4段でした。しかし初段の手前茶帯の高山さんが、ボコボコにされながらもチャンピオンを本気にさせている組み手は感動しました。それにスタイルが実践スタイルなので誰よりもカッコ良かったのを覚えています。
ふと高山さんのグローブを見るとグローブのヒモがほどけてました。道場オーナーの奥さんに『あんた、ちょっとしんちゃんのヒモ結んであげて』と言われ結びに行きました。そしたら『すみません、お願いします』と言われました。悪さばっかりしてたので、やっぱり礼儀正しく敬語使うのは武道ですね。そして顔を見るとビックリしました。声は出しませんが涙流して泣いていました。よく考えると当然ですね。中学2年生が体力があるチャンピオンにボコボコにされるのですから、気持ちは耐えれても、体の本能は正直です。実際高校3年生ぐらいでも初段やそこらぐらいの実力なら逃げ回るぐらいですから中学2年では驚異的です。『ありがとうございました』と言ってまたド突き合いしに向かって行きました。練習終えた他の中学生も真剣に見てました。
伝説では無く、初めてリアルな強さを見ました。自分の中途半端、しょうもない、なんちゃってな悪さはなんやってんやろと思いました。確かに小学校中学校の伝説や番長はあるでしょう。でもどれだけ伝説が凄くてもこれだけリアルな殴り合い、その人が素手素足でどれだけ出来るのか、どれだけ強いのか弱いのかをはっきり見せられると何も言えなくなりました。
この時強く誓いました。日本拳法にかけよう。高山さんに弟子入りしようと誓いました。組み手が終わり整理運動が始まったのでそろそろ帰ろうと思ったら、高山さんから『松中やろ。拳法やんの?』と話掛けてくれました。『は、はい。入りますのでよろしくお願い致します』と言いました。感激です。
そしてここから日拳ロードが始まるのでした!
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